ドイツ医療事情と病院受診時のこと
慣れない異国の地で病気になったりケガをしてしまうと、本当に心細いもの。病院に行くのも一苦労です。病院での受診に際して知って知っておくとよいこと、診察時に役に立つドイツ語会話などをご紹介します。
日本にいた頃は、医者のお世話になることなんて滅多になかったのに、ドイツに来てからというもの、なんとなく体調がいまいち…。そんな人も結構いるのではないでしょうか。慣れない生活環境、押しの強いドイツ人との生活等でストレスがたまったり、思った以上に朝晩が寒くて風邪をひいてしまったり。日本とドイツでは水質も違うので肌が荒れてしまったという話もよく聞きます。
外国で病院に行くとなると、いろいろな不安が頭をよぎります。言葉の問題、支払いはどうするのか、予約はいるのか、そもそも病院はどこにあるの??? ただでさえ体調を崩しているのに、これでは病院に行く前に疲れ果ててしまいます。ドイツでの病院受診は、日本での場合とそれほど大きい違いがあるわけではありません。ただ、知っておくべき大切なことはいろいろとあるので、順番にご紹介しましょう。
ドイツの保険について
ドイツに住む人は、健康保険への加入が義務付けられています。
ドイツの保険は、法的健康保険と民間健康保険の2つに大きく分けられます。
1 法的健康保険 (Gesetzliche Krankenversicherung)
日本の国民健康保険に該当し、会社員などの被雇用者や学生、失業者などドイツ人の多くが加入しています。保険料は所得に応じて一定なのでどの保険に加入しても同じですが、適用範囲などは多少異なります。扶養家族は世帯主の保険に無料で加入できます。主な保険にはAOK、TK、BKKなどがあります。そのほか、フリーランスで働くアーティストなどが加入できるKSK (Künstlersozialkasse)というものもあります。
2 プライベート(民間)健康保険(Private Krankenversicherung)
法的健康保険で決められた月収額を超える高所得者は、一般的にこのプライベート保険を選択できます。つまり、誰でも加入できるわけではありません。保険料額はその人の健康状態や年齢によって異なります。一般的に法的保険に比べて適用範囲が広いことが多く、受診時の予約もスムーズに取れる場合が多いです。それから法的保険と異なり、扶養家族も別途保険料を払う必要があります。一度、プライベート保険に加入すると、法的保険に切り替えることは基本的にできません。
※海外旅行保険
ステップイン旅行保険のように、留学やワーキングホリデー、研究滞在、旅行などで一時的にドイツやその他外国に滞在する場合に適した保険です。上記の2保険と違い、旅行保険ならではのメリットもたくさんあります。外国滞在時に荷物の盗難に遭ってしまったり、飛行機に預けた荷物は損害を被ってしまった場合などに適用される荷物保険、日本の家族の緊急時に渡航費用が補償される緊急時保険などは、法的保険やプライベート保険ではカバーされていません。
病院受診時の留意点
- まずは最寄りの一般内科(Hausarzt)を受診する。
日本では、症状によって耳鼻科や皮膚科など、直接専門科病院を受診することも一般的ですが、ドイツではまずは掛かり付けの内科(ドイツ語でHausarzt)で診察を受けるのが一般的です。その後、必要に応じて医師から紹介状を書いてもらい、専門科での治療に進むのが通常です。でも、例えば虫歯で歯が痛み出してしまった場合などは、内科に行く必要はありません。直接歯医者に行ってくださいね。 - 予約を取る
事前に電話で予約を取るのが一般的です。特定のプライベート保険加入者しか受け付けていない病院などもあるので、診察が可能かどうかその際に確認を取っておくといいかもしれません。緊急ならば、予約せずに飛び入りで行ってしまっても、もちろん構いません。門前払いされてしまうことは(普通は)ありませんので、待合室で辛抱強く待っていれば、いつか順番が回ってきます。 - 水曜日の午後は休診
ドイツでは、水曜日の午後は通常どのクリニックも休診です。(救急病院や大きな総合病院は除く)水曜日以外の平日は通常、午後も診察時間が設けられています。 - 待ち時間は多めに見ておく
内科、歯科、小児科……、何科であれ、病院での待ち時間は日本に比べてかなり長いので、最初から覚悟しておいた方がいいかもしれません。予約を取ってあったとしても「何のための予約だったの?」っていうぐらい、長く待たされることも残念ながら稀ではありません。ドイツ人もみんなイライラして待合室で待ってます。特に、週末明けの月曜日や風邪がはやる冬の季節、病院の待合室は座る場所もないくらい満員状態です。ただひたすら、自分の名前がいつか呼ばれる時を待つしかありません。病院によっては、自宅で待機しているように指示がある場合もあります。待っていると、「そろそろ順番なので、家を出発してください」と電話をくれることもあり、そうすると待合室で長く待つ必要がないので嬉しいですね。 - 医師とのコミュニケーションが取れるようにする
言わずもがな、医師とのコミュニケーションはとても大切です。自分の症状についてしっかり説明し、医師のアドバイスをきちんと理解しなくては、治るものも治りません。ドイツ語に不安があるならば、できれば通訳をしてくれる友人などに一緒についてきてもらうことをお勧めします。それに、医師は当然ながら、窓口の受付の人とのやり取りも侮れません。相手が病気で弱っていても、あまり頓着せずマイペースで事務処理をしていく人も結構いますので、不安な場合は誰かに付き添ってもらうのがベターです。次回の予約を取ったり、治療費の支払い方法について確認したり、確認しておくことは少なくありません。処方箋の服用方法についてその場で指示がある場合も多いので、しっかり理解しておく必要があります。もしだれも付き添ってくれる人がいない場合は、医師に伝えたい自分の症状等について予めメモを用意して持っていくとよいでしょう。 - 通院の度に窓口で支払いが生じることはない
日本では通常、通院するたびに窓口で自己負担分の支払いが生じますが、ドイツでは保険適用内の診察ならばすべて保険でカバーされますので、窓口での支払いはありません。ステップイン旅行保険のお客様の場合、受診日は大抵、診察を受けるのみで家路に着きます。治療がすべて終了すると、後日郵送で病院から治療費の請求書がお手元に届きますので、その時点で初めてお客様からのお支払いが生じます。 - 処方箋は、病院最寄りの薬局で購入する
医師から処方箋が出た場合には薬局で薬を購入します。薬局は通常、クリニックの近くや同じ建物内に併設されています。(もちろんどこの薬局でも、処方箋を持っていけば薬が購入できます)薬局(Apotheke)の「A」の目印は目につきやすいので、病院を出たら辺りをぐるりと見回してみてください。きっと見つかります。購入時には処方箋は渡してしまわず、返してもらうようにしてください。保険金請求時に必要となります。 - ステップイン保険にご加入のお客様へ
診察日には必ず保険の加入証明書を持参し、必ず診察前に窓口もしくは医師に直接提示してください。診察治療内容が保険の適用範囲内かどうか、診察前に医師に確認なさってください。
病院で役に立つドイツ語
- 一般内科 - allgemeine Innere Medizin
- ホームドクター - Hausarzt
- 歯科 - Zahnarzt
- 耳鼻科 - Halz-Nasen-Ohren Klinik (HNO)
- 眼科 - Augenarzt
- 皮膚科 - Dermatologie
- 整形外科 - Orthopädie
- 婦人科 - Frauenarzt
- 小児科 - Kinderarzt
- 待合室 - Wartezimmer
- 照会状 - Überweisung
- 血液検査 - Blutuntersuchung
- 処方箋 - Rezept
- 薬局 - Apotheke
- 予約を取りたいです。 - Ich möchte einen Termin machen.
- (窓口で)10時に予約があります。 - Ich habe um 10h einen Termin.
- 私は旅行保険に加入しています。 - Ich habe eine Reiseversicherung.
- お腹/頭/のどが痛いです。 - Ich habe Bauchschmerzen./ Kopfweh./Halzschmerzen.
- 熱があります。 - Ich habe Fieber.
- 気分が悪いです。 - Ich fühle mich schlecht.
- 吐き気がします。 - Ich muss mich übergeben.
- 咳と鼻水が出ます。- Ich habe Schnupfen.
- 私はアレルギーがあります。 - Ich habe eine Allergie.
- 発疹が出ました。 - Ich habe einen Hautausschlag.
- 膝/足/首をケガしました。 - Ich habe mich am Knie/Fuß/Nacken verletzt.
- 保険が使えますか? - Wird das von meiner Versicherung abgedeckt?
- 診察費の見積もりを出してもらえますか? - Ich bitte um einen Kostenvoranschlag für die geplante Behandlung.
- クレジットカードで支払うことができますか? - Kann ich mit der Kreditkarte bezahlen?
- 今この場で現金で支払うことができますか? - Kann ich die Rechnung auch direkt in bar bezahlen?
保険金請求手続きについて
ステップイン旅行保険にご加入の皆様に、現地で病院を受診した場合の保険金請求の方法についてご案内します。
- 病院から治療費請求書が届きます。
病院での診察が終了すると、治療費請求書が治療を受けたご本人に届きます。通常は郵便で送られてきますので、受診時に窓口で、郵便物を確実に受け取ることのできる住所を忘れずに伝えてから帰宅してください。病院によって異なりますが、請求書が届くまでには数週間~1カ月ぐらいかかります。1カ月を過ぎても請求書が届かない場合は、病院にお問い合わせください。また、日本帰国が近づいている場合など早めに請求書を発行してもらいたいときには、その旨を早めに病院に申し出てください。 - 病院への支払いをひとまずお済ませください。
支払い方法は通常、病院が指定する銀行口座への振込となります。病院によってはクレジットカードや現金払いが可能な場合もありますので窓口でご確認ください。キャッシュレス治療は基本的に、手術や入院をした場合などに例外的にお受けできますのでご了承ください。 - 保険金を請求する
保険金の請求方法にて詳細のご案内をしておりますのでご確認ください。
迅速に審査を進めるために、直接保険会社へオンライン請求していただくことも可能です。オンラインで必要事項を申告し、必要書類を同時にオンラインで送信していただけます。ただ、手続きはドイツ語もしくは英語となりますのでご了承ください。
- 保険会社での審査
必要書類が不足なく揃っていた場合、通常は数週間~1カ月程度で審査が終了し、通知が保険会社から郵送またはメールでお客様のお手元に届きます。 - 保険金の給付
申告時に指定した銀行口座まで給付金が振り込まれます。日本の銀行口座を指定することもできますが、その場合は送金手数料が一部、ご自身負担となりますので、できるかぎりドイツの口座を指定することをお勧めします。
保険プラン(保険料/月)
- 基本プランに含まれています。
オプションプランのうち保険料が別途明記されている保険は、ご希望に応じて補足加入が可能です。各保険の補償内容の詳細は日本語の保険約款でご確認いただけます。
長期滞在時のおすすめ「ファーストクラス」「ファーストクラスゴールド」
ステップインがご提供する保険は、ドイツ旅行保険大手HanseMerkur社の保険です。
現地滞在期間または保険契約期間が13カ月以上になるお客様につきましては、新規・延長契約ともに疾病保険の保険者が同社子会社のADVIGON社に移ります。(ドイツが主な滞在国となる場合は、ご契約期間4か月以上の場合)
保険プランや補償内容等は同じですので、どうぞご安心ください。