Du それとも Sie?

日本語には丁寧語や敬語があります。シチュエーションに応じて、また相手との関係に応じて、丁寧語を使うべきか、それとも丁寧語は使わずに話すか、私たちは様々に使い分けています。ドイツ語も同じです。丁寧な形で会話をするか、それとももっと気さくな形で会話をするか、その状況や相手との関係によって使い分けが必要です。ワーホリや語学留学研究滞在などでドイツにいらっしゃる皆さんにとっては、この使い分け次第でドイツ人とのコミュニケーションがぐんとスムーズに進むことがあるので、しっかり理解しておきたいところです。

ドイツではこの使い分けを学校で学ぶのでしょうか?子どもを持つドイツ人の同僚に聞いてみたところ、どうやら学校のドイツ語の授業で学習することではないようです(もちろん学校によって違うとは思いますが)。子どもたちは普段の生活の中で自然に覚え、大体小学校を卒業する頃には、その使い分けがしっかりできるようになっているのが一般的だそうです。ただそれはもちろん、母国語がドイツ語である人の話。私たち外国人の場合は残念ながらそうはいきませんよね。

というわけで、今回のテーマはドイツ語学習の登竜門、「Du」の形と「Sie」の形の使い分けについてまとめてみました。そもそも、「Du」とか「Sie」とかって、何のこと?って思ったドイツ語初級者の皆さん、難しく考えなくても大丈夫です。ドイツ語は一通り学んだけれど、いまいちこの使い分けが分からないという人はおさらいとして、どうぞ気楽にお付き合いください。

さて、「気楽に~」と書いた途端にすいません。まずは、この2つの形を使い分けるために、動詞の活用をさらっとおさらいしておきましょう。ドイツ語の動詞の活用……、ホント難しいですね。でもこればっかりは避けては通れませんので、一緒に通っちゃいましょう!

trinken(飲む)

動詞(現在形)の活用は次のようになります。
ich trinke
du trinkst/Sie trinken
er / sie trinkt
wir trinken
ihr trinkt
sie trinken

相手と会話をする時、Du(二人称単数の親称、きみ)で話す場合と Sie(二人称単数の敬称、あなた)で話す場合の2通りが考えられます。会話の内容は同じでも会話のトーンは異なります。

Duで話す場合―敬語を使う必要のない親しい間柄での気さくな会話
Trinkst du Bier?  「ビール、飲む?」

Sieで話す場合―相手に敬意を払った丁寧な会話。相手と距離を置く会話。
Trinken Sie Bier?「 ビールを飲みますか?」

もちろん実際の生活では、そんなに簡単にこの2通りのどちらかに分けることのできない状況もたくさんあり、使い分けは意外と難しいです。白黒がはっきりした場面もありますが、グレーゾーンも結構多いのが現実です。相手が自分より年上か年下か、で使い分けるならいっそのこと簡単だったかもしれないんですが……。そこで。ドイツ社会で通用している(暗黙の)ルールをまとめてみました。

Du?それとも Sie?10のルール

  1. 友達同士、家族の間ではDu
    これは言うまでもないかもしれません。気心の知れた友達同士、家族間では、親しみを込めてDuで話します。自分より年上のオーパやオーマにもDuで話して大丈夫ですよ。

  2. 知らない人(大人)に対してはSie
    スーパーで買い物をしたり、郵便局で用事を片づけたり、電車に乗っていて誰かに行き方をたずねたり、毎日の暮らしの中で接する人とは基本的にSieが妥当です。本当にお互いよく知っている人ならDuでもOKです。

  3. 学校の先生に対してはSie
    子どもたちは基本的に、先生に対してはSieで話をします。Frau ~Herr~と話しかけるのです。まあこれはよし。気を付けるのは、親から先生に対しての場合。この場合も必ずSieです。いくら先生が自分より若くても敬称で話しますので、心にとめておきましょう。

  4. 子どもや(自分より年下の)若者に対してはDu
    これは特に問題ないでしょうか。ちなみに、まだ小さな子どもたちは、誰にでもDuで話しかけるのが普通ですが、それはルールなど関係なくOK。可愛いから許される年頃です。

  5. 学生同士、スポーツクラブでの会話はDu
    おもしろいことに、スポーツクラブなどでは年齢や立場に関係なくDuの形で会話をするのが普通です。その場で一緒に汗を流し、楽しい時間を共有しているという感覚がお互いの親密度を高めるのか、Sieでの会話はまず聞かれません。堅苦しくなくていいですね!

  6. 銀行、役所、病院での会話はSie
    必ずSieの形で話をしましょう。病院の先生がいくら自分より若くても、敬意を払い、一定の距離を置いてSieで会話を進めます。もうずっとお世話になっている掛かりつけのお医者さんでもDuでは話しません。(病院での会話については、「病院で診察を受けるとき」でもご紹介しています。ご一読ください。)

  7. 警察官には(必ず)Sie
    Duで気さくに警察官に話しかける人はまあいないとは思いますが念のため。
    その他、警察ではありませんが、電車の中で時々出会う乗車券コントロールの係員さんなどにも、必ずSieで話しましょう。(まあ普通は、切符を見せておしまいなので、会話を交わすことはあまりないかもしれませんが)

  8. 職場では普通はSie
    普通、会話はSieです。ただ、職場やその業種によっても異なりますし(例えば、銀行関係は大抵Sieです)、よくお互いを知った同僚同士の場合、最初はSieでもそのうちにDuに変わることはめずらしくありません。社風によっても、また社員の平均年齢によっても違ってきます。ちなみに、同じドイツ語圏でも、オーストリアやスイスではドイツに比べると格段に早くSieからDuに切り替わるようです。

  9. Duの形で話そうともちかけるのは年上の人から年下の人へ、もしくは立場が上の人から下の人へ。
    Wir siezen uns.
    Wir duzen uns.


    これは守っておいて◎です。自分より年上の人に対して、もしくは自分より立場が上の人(例えば職場の上司など)に対して、自分の方から「Duで話そうよ」とは普通持ちかけません。それから「立場」について一つ注意。自分より若いけれど上司という場合。この場合はあくまで上司ですのでSieで話すのが一般的です。

    つい最近、職場でこんなことがありました。取引先の担当者に初めてメールを書いた時のこと。その担当者は明らかに私よりは上の立場の人だったので、私は迷わずSieの形で書面を書きました。でもその後、その担当者から返ってきたメールの返事はDuで書かれていました。なので私は、「これからはDuを使っていいんだな」と思ったわけです。この場合も、「Duで会話をしよう」と切り出したのは相手側、つまり立場が上の人からだったことになりますね。私の方から「Duで話しましょう!」とはまず切り出しません。

  10. まよった場合は最初はSieの形で始める。その後、相手がDuで話しかけてくるか様子を見てみる。
    これはよくあるシチュエーションかもしれません。特に外国人の場合、よほどドイツ語が堪能か、もしくはドイツ生活に通じていないかぎり、判断が難しいものです。だから相手に判断は任せてしまいましょう。「Du を使うかSieを使うか迷ってしまったら、Sieを使って話す方が無難」。これは鉄則です。

ドイツ人の同僚に聞いた「DuかSie迷うとき」

Du」か「Sie」か。大体の使い分けについてはお分かりいただけたでしょうか。それほど難しくないと思った方、なんだかまだよく分からないと思った方、いろいろだと思いますが、実際ドイツ人にとってはこの使い分けは簡単なんでしょうか?

いろいろ調べてみると、どうやらドイツ人でも特に30~40代の世代に、戸惑いが多いようです。相手と距離を置くこと、もしくは相手に距離を置かれることに抵抗がある微妙な年齢(若くもなくそれほど年老いてもなく)なのかもしれません。一般的には、30歳になったぐらいの頃から、周りの人にSieで話しかけられる機会が少しずつ増えてくるようです。気はまだまだ若いけれど、周りはそうは見なくなってきている。もしくは外見的にもうさすがにティーンエイジャーには見えなくなってきている……。日本人でも同じですが、つまり微妙な年頃です。その世代には、DuSieの使い分けが難しい場面が少なくないようです。

ちょうどこの世代のドイツ人の同僚に聞いてみたところ、「どちらの形で話せばいいか迷う時もあるよ」との答え。やっぱりそうなんですね。というわけで、同僚が実際に体験した「どちらの形で話したらいいか迷う時」、ここでちょっとご紹介しましょう。

「肩肘のはらない気楽な雰囲気のレストランでウェイトレスと話すとき、大抵はDuで話しかけるんだけど、そうすると、一緒にいる妻はいつも嫌な顔をするんだ『彼らはあなたの友達でも給仕でもないんだから、敬意を払ってSieで話すべきよ』って。格式ばった五つ星レストランなら彼女の言い分もわかるけど、普通のレストランでは別に構わないと思うな。」

「仕事関係の会話でも難しいなって思うことはあるよ。マーケティングやネット関連の企業なんかだと、最初から会話がDuってことは結構よくあるんだけど、時々戸惑うことがあるよ。つい最近も、取引先にメールを書いたんだ。特によく知ってる相手でもなかったから迷わずSieの形で書いたんだけど、その相手からはものすごく気さくにDuで返信がきてびっくりした。あ、なんだ、Sieで話す必要なかったのか、って後で思ったよ」

「長い間の知り合いではあるんだけど、その人のことをあまりよく知らない人っているでしょ。もっと親しい間柄になりたいという気持ちも特にはないの。そういう人にはDuで話しかけてもいいんだろうけど、結局ずっときっかけもないままずるずるとSieのまま。もしいつか、その人に興味が湧いて、もう少し近い間柄になりたいと思うようになったらDuで話そうってその人に声をかけてみるかもしれない。」

ちなみに、ビールの祭典「オクトーバーフェスト」。ビアテントでビールや料理を注文するときには、DuそれともSie?同僚の回答は「注文を受けにきた人によるわね。ご年配の男性だったらSie、若い女性だったらDuかな。」。無難に、丁寧にビールを注文するなら、こんな感じでどうでしょうか。
Bringen Sie mir bitte ein Maß Bier?

今回、このテーマについて改めて考えてみて思いました。結局この使い分けは、会話する相手と気持ちよくコミュニケーションを取るためのもの。なので、「DuそれともSie?」って考えすぎて、会話がぎこちなくなってしまっては本末転倒です。

ただ、相手との距離感(心理的なものも含めて)がこの使い分けによってはっきりする場面は多いので、状況によってはとてもデリケートな問題でもあります。Duで話してもよかった相手にSieで話しかけ、相手から「そんなによそよそしくしないでもいいのよ」と言われてしまうことだってあるかもしれません。逆に、Sieを使うべき場面でDuを使ってしまったとしても、いきなり怒鳴られることは(普通は)ないにしても、その相手に不愉快な思いをさせてしまうことはあるかもしれません。それはできれば避けたいですね。

ですので、一般的なルールはしっかり踏まえつつ、大切なのは相手とのコミュニケーションであることを忘れずに。そして、できるだけいろいろな場面でいろいろなドイツ人と会話をするようにしましょう。そのうちに、使い分けの感覚がつかめてくると思います。

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